うさこちゃんとどうぶつえん
ディック・ブルーナ 文・絵 / いしい ももこ 訳
初版年月日 : 1964年06月01日
まず、とうさんの誘い方が素敵なのよ。
「どうぶつえんにつれていってあげよう」じゃないのよ。
「どうぶつえんへいこうとおもってるんだが、いっしょにくるかい?」なのよ。
おとうさんがうさこちゃんを子どもというより一人の人間として(うさぎだが)扱っているのが伝わってくる。
きしゃにのってどうぶつえんにいく様子を
「車窓から見える二人の顔」だけで表現してるところが
ブルーナさんの描くシンプルさの真骨頂といったところだね。
最小限の線なのに無限の想像が広がるのがブルーナさんのすごいところだ。
そしてうさこちゃんは、おうむやしまうまやかんがるーや、いろんな動物たちに出会い、楽しい一日を過ごす。
「おまえも動物やないかい!」っていうツッコミが入ることも予想したうえで、ブルーナさんはこのお話を書いたと思うんだよね。
でも、うさこちゃんはこの絵本を読んでいるあなた自身なんだよね。
ええっ・・・そんなツッコミ入れる?
少なくとも私はそんな穿った見方はしなかったけどね。
私だけ?
そして、うさこちゃんはかめにのって得意顔をするのだった。
得意顔っていっても、いつもの顔なんだけどね。でもそう思って見ると、ほんとに得意顔に見えてくるようだよ。
帰りのきしゃでねむってしまううさこちゃん。
ここもさっきの車窓と同じような絵だけど、うさこちゃんが眠っているから帰りのきしゃだと分かるね。
本当にブルーナさんはちょっとした表現で違いを描き分ける天才だね。