ミッフィーの街ユトレヒト
ザーンセスカンスで牧歌的なオランダを堪能した私たちは、ザーンダイクからスローテルダイクまで戻り、そこでネイメーヘン(Nijmegen)駅行きのIntercityに乗り換える。
スローテルダイク駅は利用する人が少ないわりに、とても広い。ホームがいくつもあって、うっかり違うホームに上ってきてしまった。
エスカレーターで上ってきたものの、下りは見当たらず、階段も遠くにあったため、目の前のエレベーターで下りることに。▼ボタンを押した。
しかし、いっこうにエレベーターが上がってくる様子がない。1階と2階を結んでいるだけのエレベーターで、スケルトンになっていたため、エレベーターが1階に停止していることは明らかだった。
訝しく思っていると、後ろから来た若い女性がこちらの様子を気にしながら、▲ボタンを押した。
するとエレベーターはスーッと上がってきたのだ。
えっ!そっちだったの??
三角ボタンは、エレベーターのカゴそのものの動きを制御するボタンだったらしい。下に行きたいから▼を押すんじゃなくて、カゴに上がってきてほしいから▲を押すのだ。
でもその後他の施設で利用したエレベーターは日本と同じ方式だったから、この駅が特殊だったのかも。ややこしいな。
そんなこんなで少し手間取ったが、私たちは無事に電車へ乗り込み、3つ目のユトレヒト中央駅で下車した。
ついにやってきたね。ユトレヒトへ。
ユトレヒト駅の構内もとてもモダンな造りだった。リーフレットが置いてあるコーナーが目に入った。表紙にはミッフィーのシルエットが描かれている。
中身はオランダ語で読めなかったが、ユトレヒトの市街図が載っている、観光案内のようだった。
外に出ると、さっきまで薄曇りだった空が青々として日差しがまぶしくなっていた。
わー!あれがドム塔だね!
ドム塔はオランダで一番高い教会塔なのだそう。ユトレヒトのシンボルだ。いかにも歴史を感じさせる荘厳な風貌。
駅の目の前には運河が通っており、オランダならではの間口が狭く縦に長い「カナルハウス」と呼ばれる民家が立ち並んでいる。
普通の街並みなのだろうが、これがとんでもなく芸術的に見える。中世にタイムスリップしたかのよう。
ただひとつ中世の景色にそぐわないのは、自転車の多さだろう。駅前の駐輪場がすごい。こんなに一度にたくさんの自転車は見たことないかも。オランダは土地が平坦だから自転車があればどこへでも行けそうだもんね。
運河沿いを歩く。水は決してきれいじゃなかったが、別にゴミが浮いているわけではない。運河ってこんなものなんだろう。
私たちははやる気持ちを抑えつつ、ナインチェ・ミュージアムへ向かっていた。